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牡蠣ノロウイルス検査

食中毒の原因としてウイルスをご存知でしょうか?

 細菌だけではなく、ウイルスによる食中毒が目立つようになってきています。 そのなかで平成9年5月に厚生省からウイルスとして初めて食中毒の病原物質に指定されたのがノロウイルスです。 主な原因食材はカキなどの二枚貝ですが、生のまま食べる食品や弁当・惣菜からの検出報告もあります。

特徴

 感染力が強い、環境中での生存性が高い、アルコールが効きにくい、感染者の糞便や嘔吐物に大量に排出される、などの 特徴をもつため、生のまま食べる食品や弁当・惣菜が汚染された場合、大規模食中毒事件を発生させやすい特徴を持ちます。
 ノロウイルスは、多くの遺伝子群および更に細分化された遺伝子型があります。ヒトに主に感染する遺伝子群はGIとGIIで、 GIは9つ、GIIは22の遺伝子型があり、流行する遺伝子型がシーズンによって変わります。 また、ノロウイルスは変異しやすく、ヒトの免疫が効きにくいという特徴を持ちます。

原因食品

 主な感染源として報告が多いのが、カキなどの二枚貝ですが、サラダ、果物、ケーキ、パン、海苔、水などの 生のまま食べる食品の感染事例も報告されています。 また感染経路としてウイルスに汚染された食品・飲料水からの経口感染と感染者からの二次感染の事例も報告されています。

症状

 主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛です。通常、これらの症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。 ただし、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、嘔吐物を誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。 また、感染しても症状が出ない場合や軽度の症状しか出ない場合もあります。

予防

  • ウイルスで汚染されている可能性のある食品は、よく加熱してから喫食する。
  • 貝類を生のまま喫食する場合は、清浄なものを選ぶ。
  • 食品従事者は、発症しなくても感染している場合があるので、用便後・作業前に十分に手を洗う。
  • 飲料水は煮沸するなど、完璧に滅菌してから飲む。
  • まな板・包丁・フキンなどは、よく洗い熱湯や漂白剤で殺菌する。

なぜ中腸線を検査するのか?

 カキなどの二枚貝は1分間に数リットルの海水を体内でろ過しています。
 ノロウイルスは海水に混ざっていますが、海水といっしょに排出されずに体内に蓄積されてしまいます。その蓄積される場所が中腸腺なのです。
 中腸腺だけを取り出せば、より検出されやすくなるわけです。中腸腺以外の白い部分にはノロウイルス由来ではなく、 その二枚貝由来のDNAやタンパク質が大量に含まれているため、検査がうまくいかなくなるという理由もあります。

検査(牡蠣)

 ノロウイルスは普及した培養系が無く、カキ中腸腺中に含まれるウイルス量はごくわずかであるため、 ウイルスの遺伝子を検出する遺伝子検査法が主流の検査法になっています。
 弊社では遺伝子検査法であるリアルタイムPCRプローブ法にてカキ中腸腺中のノロウイルスを検査しており(牡蠣ノロウイルス検査)、 弊社で採用している試薬は、厚生労働省 医療食品局 食品安全部 監視安全課より通知された「ノロウイルスの検出法について」 (食安監発第1105001号、最終改正:平成25年10月22日付け食安監発1022第1号)に収載された検査方法に準拠したもので、 陽性の基準となる「実測値10コピー(/テスト)」を検出可能なものです。また、牡蠣に含まれるノロウイルスは、 糞便に比べ非常に少ないため遺伝子増幅(リアルタイムPCRプローブ法) を行う前のノロウイルスからの核酸抽出・精製の精度が重要となります。 弊社はこの工程に磁性体を用いた核酸自動精製装置を使い、従来法に比べ高感度・高精度な検査を実施しております。
 弊社は高感度で特異性の高いリアルタイムPCRプローブ法により、牡蠣ノロウイルス検査だけでなく、 他の二枚貝等の食品ノロウイルス検査・ノロウイルス拭き取り検査・食品従事者の便中ノロウイルス検査・ノロウイルス遺伝子型検査等、 総合的にノロウイルス対策に有効な検査を行っております。また、遺伝子群(GI・GII)別に報告しています。

検査内容

項目名 牡蠣ノロウイルス検査
結果報告 検体受付日より2~3営業日

検体受付日=月曜日~土曜日(日・祝祭日を除く)
 (年末年始はこの限りではありません)
検体数が大幅に多くなる時には多少報告が遅れる場合があります。
報告の迅速性等により、当社はWEBシステムのご利用をお勧めいたします。

検査方法 遺伝子検査法 – リアルタイムPCRプローブ法
 「ノロウイルスの検出法について」(食安監発第1105001号、最終改正:平成25年10月22日付け食安監発1022第1号)に 収載された検査方法に準拠して実施致します。また、遺伝子増幅を行う前のノロウイルスの核酸抽出・精製工程に、 磁性体を用いた核酸自動精製装置を使用しております。
検査結果表記 GI・GIIを区別し、下記のいずれかで同時報告致します。
陽性: 実測値が、10コピー以上の場合
10コピー未満: 実測値が、10コピー未満の値の場合
陰性: 遺伝子増幅反応が無い場合
  ※厚生労働省通知では、リアルタイムPCRプローブ法で実測値が10コピー以上を陽性とすることになっております。
  ※ご要望がある場合は、10コピー未満の参考実測値をご報告いたします。
検体・採取量 牡蠣5個体以上(むき身・殻付)
検体輸送 冷蔵(発泡スチロール容器等をご使用ください)
 ※二枚貝等(牡蠣以外)の食品ノロウイルス検査・ノロウイルス拭取り検査・ノロウイルス遺伝子型検査等の詳細につきましては、お問い合わせください。

検査法が定められている主な食品一覧

食品区分 指示されている検査項目
乳及び乳製品
(成分規格基準)
1) 生乳・生山羊乳 総菌数*1
2) 牛乳・殺菌山羊乳・成分調整牛乳・低脂肪牛乳・無脂肪牛乳・加工乳 細菌数・大腸菌群(定性)
3) 特別牛乳 細菌数・大腸菌群(定性)
4) 乳飲料 細菌数・大腸菌群(定性)
5) クリーム 細菌数・大腸菌群(定性)
6) バター・バターオイル・プロセスチーズ・濃縮ホエイ 大腸菌群(定性)
7) ナチュラルチーズ リステリア・モノサイトゲネス
8) アイスクリーム類 ① アイスクリーム 細菌数・大腸菌群(定性)
② アイスミルク 細菌数・大腸菌群(定性)
③ ラクトアイス 細菌数・大腸菌群(定性)
9) 濃縮乳・脱脂濃縮乳 細菌数
10) 無糖練乳・無糖脱脂練乳 細菌数
11) 加糖練乳・加糖脱脂練乳・全粉乳・脱脂粉乳・クリームパウダー・ホエイパウダー・ たんぱく質濃縮ホエイパウダー・バターミルクパウダー・加糖粉乳・調整粉乳 細菌数・大腸菌群(定性)
12) はっ酵乳 乳酸菌数又は酵母数・大腸菌群(定性)
13) 乳酸菌飲料 ① 無脂乳固形分3%以上 乳酸菌数又は酵母数・大腸菌群(定性)
② 無脂乳固形分3%未満 乳酸菌数又は酵母数・大腸菌群(定性)
14) 2)と4)の常温保存可能品 細菌数
食品・添加物(成分規格基準) 15) 清涼飲料水 ① ミネラルウォーター類のうち、容器包装内の二酸化炭素圧力が98kPa(20℃)未満で、かつ殺菌又は除菌を行わないもの 大腸菌群(定性)・腸球菌(定性)*2・緑膿菌(定性)
② ミネラルウォーター類のうち、容器包装内の二酸化炭素圧力が98kPa(20℃)以上で、かつ殺菌又は除菌を行わないもの 大腸菌群(定性)
③ 搾汁及び搾汁された果汁のみを原料とするもの 大腸菌群(定性)
④ ①~②以外のもの 大腸菌群(定性)
⑤ ①~④の原水 さらに細かく分類があるので、依頼発生時に検査側にご相談ください。
16) 粉末清涼飲料 ① 乳酸菌を加えないもの 細菌数・大腸菌群(定性)
② 乳酸菌を加えたもの 細菌数(特殊)*2・大腸菌群(定性)
17) 氷雪 細菌数・大腸菌群(定性)
18) 氷菓 細菌数・大腸菌群(定性)
19) 食鳥卵 ① 殺菌液卵(鶏卵) サルモネラ属菌(定性)
② 未殺菌液卵(鶏卵) 細菌数
20) 食肉製品 ① 乾燥食肉製品 例:ビーフジャーキー、サラミソーセージなど E.coli(定性)
② 非加熱食肉製品 例:生ハムなど E.coli(最確数)・黄色ブドウ球菌(定量)・サルモネラ属菌(定性)リステリア・モノサイトゲネス
③ 特定加熱食肉製品 例:ローストビーフなど E.coli(最確数)・黄色ブドウ球菌(定量)・サルモネラ属菌(定性)・クロストリジウム属菌(定量)
④ 加熱食肉製品例:ボンレスハム、ロースハム、ウィンナーソーセージ、ベーコンなど a)  容器包装後、殺菌したもの 大腸菌群(定性)・クロストリジウム属菌(定量)
b)  加熱殺菌後、容器包装したもの E.coli(定性)・黄色ブドウ球菌(定量)・サルモネラ属菌(定性)
⑤ 生食用食肉(牛の肉;内臓を除く) 腸内細菌科菌群(定性)
⑥ 生食用食肉(馬の肝臓又は肉):成分規格目標 糞便系大腸菌群(定性)・サルモネラ属菌(定性)
21) 鯨肉製品 大腸菌群(定性)
22) 魚肉ねり製品(魚肉すり身を除く) 大腸菌群(定性)
23) 20),21),22)の製造に使用する香辛料、砂糖およびでん粉:製造基準 芽胞数(定量)
24) ゆでだこ ① 未冷凍ゆでだこ 腸炎ビブリオ(定性)
② 冷凍ゆでだこ 細菌数・大腸菌群(定性)・腸炎ビブリオ(定性)
25) ゆでがに(飲食に供する際に加熱を要しないものに限る) ① 未冷凍ゆでがに 腸炎ビブリオ(定性)
② 冷凍ゆでがに 細菌数・大腸菌群(定性)・腸炎ビブリオ(定性)
26) 生食用鮮魚介類 (切り身またはむき身にした鮮魚介類であって、生食用のものに限る) 腸炎ビブリオ(最確数)
27) 生食用かき ① 殻付き 細菌数・E.coli(最確数)
② むき身 細菌数・E.coli(最確数)・腸炎ビブリオ(最確数)
③ ①②の原料用かきを採取、または浄化する海水:加工基準 大腸菌群(最確数)
28) イクラ製品:微生物規格目標 細菌数・腸管出血性大腸菌O-157(定性)
29) 冷凍食品 ① 無加熱摂取冷凍食品 細菌数・大腸菌群(定性)
② 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱) 細菌数・大腸菌群(定性)
③ 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱以外のもの) 細菌数・E.coli(定性)
④ 生食用冷凍鮮魚介類 細菌数・大腸菌群(定性)・腸炎ビブリオ(最確数)
30) 容器包装詰加圧加熱殺菌食品 例:レトルト食品 無菌試験
※1受託不可
※2常備していない試薬を使用するので、要相談

検査項目別一覧

<食品検査>

検査項目 検査法
Aセット 細菌数(生菌数) 定量 液体培養法
E.coli 定性 液体培養法
黄色ブドウ球菌 定量 平板培養法
Bセット 細菌数(生菌数) 定量 混釈培養法
大腸菌群 定量・定性 混釈・液体培養法
黄色ブドウ球菌 定量 平板培養法
Cセット 細菌数(生菌数) 定量 混釈培養法
E.coli 定性 液体培養法
黄色ブドウ球菌 定量 平板培養法
サルモネラ属菌 定性 遺伝子増幅法
Dセット 細菌数(生菌数) 定量 混釈培養法
大腸菌群 定量・定性 混釈・液体培養法
黄色ブドウ球菌 定量 平板培養法
サルモネラ属菌 定性 遺伝子増幅法
衛生指標菌 細菌数(生菌数) 定量 混釈培養法
E.coli 定性・定量 液体培養法
定量 最確数法(MPN)
糞便系大腸菌群 定性 液体培養法
大腸菌群 定性・定量 液体培養法
混釈培養法
腸内細菌科菌群 定性 液体培養法
芽胞数 定量 混釈培養法
クロストリジウム属菌 定量 混釈培養法
低温細菌数 定量 平板培養法
高温細菌数 定量 平板培養法
乳酸菌 定量 平板培養法
緑膿菌 定性 液体培養法
真菌(カビ・酵母) 定量 平板培養法
無菌試験 定性 液体培養法
食中毒原因菌 黄色ブドウ球菌 定量 平板培養法
サルモネラ属菌 定性 遺伝子増幅法
増菌培養法
腸炎ビブリオ 定性 増菌培養法
定量 最確数法(MPN)
腸管出血性大腸菌
(O26.O103.O111.O121O145.O157)
定性 遺伝子増幅法
増菌培養法
腸管出血性大腸菌 定性 遺伝子増幅法
カンピロバクター・ジェジュニ/コリ 定性 増菌培養法
リステリア・モノサイトゲネス 定性 予備試験・本試験
増菌培養法
遺伝子増幅法
セレウス菌 定量 平板培養法
ウェルシュ菌 定量 平板培養法
ウィルス ノロウィルス
(公定法・自主法)
定量 リアルタイムPCRプローブ法
その他 保存検査
細菌同定・カビ同定

<環境検査>

検査項目 検査法
表面付着菌検査 スワブ法 基本セット 細菌数(生菌数) 定量 平板培養法
大腸菌群
黄色ブドウ球菌
細菌数(生菌数) 定量 平板培養法
大腸菌群 定量 平板培養法
黄色ブドウ球菌 定量 平板培養法
E.coli 定性 液体培養法
真菌(カビ・酵母) 定量 平板培養法
サルモネラ属菌 定性 増菌培養法
腸炎ビブリオ 定性 増菌培養法
腸管出血性大腸菌O157 定性 増菌培養法
スタンプ法 細菌数(生菌数) 定量 コンタクト平板法
大腸菌群
黄色ブドウ球菌
落下菌検査 落下細菌数 定量 平板培養法
落下真菌数
空中浮遊菌検査 浮遊細菌数 定量 平板培養法
浮遊真菌数
エアーサンプラー(捕集装置)の貸出

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