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腸管出血性大腸菌(EHEC)検査

腸管出血性大腸菌(EHEC)とは

 腸管出血性大腸菌とは、病原性大腸菌の中でシガ毒素またはベロ毒素(VT)と呼ばれる毒素を産生、あるいはシガ毒素(ベロ毒素)遺伝子を保有する大腸菌の総称です。 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」で第三類感染症に指定を受けおり、O157などが代表的です。

特徴

 大腸菌は、腸管内に最も多数存在する腸内細菌です。 その中でも下痢の原因となる病原性大腸菌は現在、病原血清大腸菌、腸管侵入性大腸菌、毒素原性大腸菌、腸管出血性大腸菌の5種類に分類されています。 特に、腸管出血性大腸菌(EHEC;O26・O91・O111・O128・O157等)は食中毒菌として重要であり、経口感染で飲食物からの感染や、人から人への感染、 水を介しての感染で大規模な集団食中毒を起こします。 腸管出血性大腸菌が産生するシガ毒素(ベロ毒素)は、体内に侵入すると大腸をただれさせ、血管壁を破壊して出血を起こします。 さらに、腎臓に障害を与え、脳や神経にも作用して発病してから短時間で生命を奪うこともあります。

原因食品 と 症状

 分布が家畜、ペット、健康人や、自然環境に及んでいるため原因食品は多種にわたります。
未消毒の井戸水やレバーなどの生肉は要注意です。症状は激しい腹痛が起こり、下痢を繰り返し、鮮血の混じった下痢便が出るようになります。 さらにひどくなると溶血性尿毒症症候群(HUS)や、脳症などの重症合併症が生じることがあり、重症患者では死に至ることもあります。

予防法

  • 手洗い、手指消毒の励行
  • 食材はよく洗い、十分に加熱する。(中心温度75℃・1分以上)
  • 食肉を扱った容器、包丁、まな板は熱湯で殺菌する。
  • 低温でも生き続けるので、冷蔵庫に入れたことで安心しない。
  • 井戸水はそのまま飲まない。
  • 定期的な水質検査を実施する。

検査

 腸管出血性大腸菌に感染しているかどうかは、便の検査(検便検査)によって調べることができます。 特に、調理従事者に対しては、定期的な検便検査が必要とされています。その理由として、下痢や嘔吐といった症状がなくても、 腸管内に食中毒菌を保菌している、いわゆる健康保菌者による食品汚染が発生する可能性があることが挙げられます。 そのため、同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に適用される 【大量調理施設衛生管理マニュアル】(厚生労働省、平成9年3月24日付け衛食第85号別添 最終改正:平成29年6月16日付け生食発0616第1号)には、 「……月に1回以上の検便を受けること。検便検査には、腸管出血性大腸菌の検査を含めること。……」と記載されています。 また、【学校給食衛生管理基準】(平成21年文部科学省告示第64号)にも、「……検便は、赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌血清型O157 その他必要な細菌等について、毎月2回以上実施すること。……」との記載があります。

 弊社は、高感度で特異性の高いリアルタイムPCRプローブ法により、腸管出血性大腸菌をはじめとした、赤痢菌、サルモネラ属菌などの 食中毒菌のスクリーニング検査を行っています。さらに、これらの菌を培地上から単離し、菌を同定した後に、シガ毒素(ベロ毒素)のタイプ(VT1、VT2)や 血清型などを調べて報告しています。

検査内容

項目名 腸管出血性大腸菌(EHECセット)セット
項目内容 赤痢菌
サルモネラ属菌
(チフス菌・パラチフスA菌含む)
腸管出血性大腸菌(EHEC)
検査方法 前培養および遺伝子増幅法 (リアルタイムPCRプローブ法)/培養法
1検体ごとに前培養を行い、その上で遺伝子検査法(リアルタイムPCRプローブ法)にてスクリーニング検査を行います。 スクリーニング検査にて陽性となった場合、病原体検出マニュアル(国立感染症研究所)に則って分離培養を行い、 病原菌を同定します。さらに、血清型検査および薬剤感受性検査を行います。
結果報告 検体受付日より3~7営業日
検体受付日=月曜日~土曜日(日・祝祭日を除く)
(年末年始はこの限りではありません)
※検体数が大幅に多くなる時には多少報告が遅れる場合があります。
 報告の迅速性等により、当社はWEBシステムのご利用をお勧めいたします。
検査結果表記 各細菌の検査結果を下記のいずれかで報告致します。
  陰性    陽性
※腸管出血性大腸菌が陽性の場合、ベロ毒素型別(VT1・VT2)報告も致します。
※赤痢菌、サルモネラ属菌、腸管出血性大腸菌のいずれかが陽性となった場合、血清型および薬剤感受性検査データもご提供致します。
検体・採取量 糞便・米粒~小豆大程度分
検体輸送 お問い合わせください
(クール便での検体輸送は、お控えください。)

関連サイト

便中ノロウイルス検査(GI・GII)

ノロウイルスとは

 ノロウイルスは急性ウイルス性胃腸炎の原因として常に1位に挙げられるウイルスです。 ノロウイルスを原因とする胃腸炎は、世界各国で発生しており、散発発生の他に、集団発生を引き起こすことが知られています。

特徴

 感染力が強い、環境中での生存性が高い、アルコールが効きにくい、感染者の糞便や嘔吐物に大量に排出される、 などの特徴をもつため、大規模食中毒事件を発生させやすい特徴を持ちます。
 ノロウイルスは、多くの遺伝子群および更に細分化された遺伝子型があります。 ヒトに主に感染する遺伝子群はGIとGIIで、GIは9つ、GIIは22の遺伝子型があり、 流行する遺伝子型がシーズンによって変わります。また、ノロウイルスは変異しやすく、ヒトの免疫が効きにくいという特徴を持ちます。

原因食品と症状

 感染原因は、ノロウイルスに汚染された食材を食べることにより感染する食中毒によるものと、既にノロウイルスに感染したヒトから、 嘔吐物や糞便を介して感染する二次感染によるものがあります。特に、ノロウイルス感染者によるヒト-ヒト感染が、 圧倒的に多いことがわかっています。 ノロウイルスは少量でも感染を引き起こすため、食品から直接ウイルスを検出することは難しく、 食中毒事例のうちでも約7割では原因食品が特定できていません。

 主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛です。通常、これらの症状が1~2日続いた後、治癒し、後遺症もありません。 ただし、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、嘔吐物を誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。 また、感染しても症状が出ない場合や軽度の症状しか出ない場合もあります。

予防法

  • 手洗いの励行
  • 食材はよく洗い、十分に加熱する。(中心温度85~90℃・90秒以上)
  • 調理器具などは、次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭く、あるいは熱湯(85℃以上)で1分以上加熱する。
  • 下痢や嘔吐等の症状がある方、および検便検査でノロウイルスが検出された方を、食品を直接取り扱う作業に従事させないようにする。

検査

 ノロウイルスは普及した培養系が無いため、糞便などからウイルスの遺伝子を検出する遺伝子検査法かウイルスタンパク質を 検出する抗原検査法で検査されています。ただし、同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設に 適用される【大量調理施設衛生管理マニュアル】(厚生労働省、平成9年3月24日付け衛食第85号別添 最終改正:平成29年6月16日付け生食発0616第1号)には、 「……ノロウイルスの検査に当たっては、遺伝子型によらず、概ね便1g当たり105オーダーのノロウイルスを検出できる検査法を用いることが望ましい。……」と 記載されており、遺伝子検査法は十分な感度を有しているためこの条件を満たしますが、抗原検査法はこの条件を満たさないため、 ウイルスを見逃してしまう恐れがあります。また、ノロウイルスが冬季に流行することから、 同マニュアルには「……10月から3月までの間には月に1回以上又は必要に応じてノロウイルスの検便検査に努めること。……」を 推奨しています。また、下痢や嘔吐等の症状がない方や軽度の症状しか出ない方でも、ノロウイルスの感染している場合があり(無症候者)、 その場合でも糞便や嘔吐物には有症者と同じ量のノロウイルスが含まれることが分かっており、ヒト-ヒト感染を引き起こす可能性があります。 弊社では遺伝子検査法であるリアルタイムPCRプローブ法にて便中のノロウイルスを検査しており(便中ノロウイルス検査)、 弊社で採用している試薬は、厚生労働省 医療食品局 食品安全部 監視安全課より通知された「ノロウイルスの検出法について」 (食安監発第1105001号、最終改正:平成25年10月22日付け食安監発1022第1号)に準じたもので、 【大量調理施設衛生管理マニュアル】に記載された「概ね便1 g当たり105オーダーのノロウイルスを検出できる検査法」に対応しています。

 弊社は高感度で特異性の高いリアルタイムPCRプローブ法により、食品従事者の便中ノロウイルス検査だけでなく、 二枚貝等の食品ノロウイルス検査・ノロウイルス拭き取り検査・ノロウイルス遺伝子型検査等、総合的にノロウイルス対策に有効な検査を行っております。 また、陽性時の感染者糞便中に排泄されるウイルス量はGI遺伝子群に比べGII遺伝子群が圧倒的に多いという報告があり、 遺伝子群を知ることは陽性時の対策として大きな意義がありますので、GI・GII別に報告しています。

検査内容

項目名 便中ノロウイルス検査
結果報告 検体受付日より1~2営業日

検体受付日=月曜日~土曜日(日・祝祭日を除く)
 (年末年始はこの限りではありません)
検体受付時間=午前9時~午後4時(土曜日は午前のみ)
 (又、以降弊社到着分は翌営業日、午前受付の報告日程となります。)

検体数が大幅に多くなる時には多少報告が遅れる場合があります。
報告の迅速性等により、当社はWEBシステムのご利用をお勧めいたします。

WEBシステムと報告時間の関係※1
検体到着時刻
午前 午後
WEBシステムの登録 あり 当日報告
(午後6時~午後8時頃)
翌営業日の午前報告
なし 翌営業日~翌々営業日報告書を発送※2 翌営業日~翌々営業日報告書を発送※2
 ※1:検体数の量により多少報告が遅れる場合があります。
 ※2:地域により報告書の到着に差があります。
検査方法 遺伝子検査法 – リアルタイムPCRプローブ法
 厚生労働省 医療食品局 食品安全部 監視安全課より通知された「ノロウイルスの検出法について」 (食安監発第1105001号、最終改正:平成25年10月22日付け食安監発1022第1号)に 準じたリアルタイムPCRプローブ法にて実施致します。
検出可能な遺伝子型
 ① GI 遺伝子型1~9 (全9種)
 ② GII 遺伝子型1~22 (全22種)
 ※GIV アルファトロン型も検出致します。
 ※GI・GIIの遺伝子型は国立感染症研究所の推奨する分類法です。
 ※リアルタイムPCRプローブ法は遺伝子型に対する特異性が広く、ほとんどのノロウイルス遺伝子型を検出できます。
検査結果表記 GI・GIIを区別し、下記のいずれかで同時報告致します。
陰性:(-)   陽性:(1+)、(2+)、(3+)
 ※検査結果は遺伝子群GI・GII別に、陰性の場合(-)、陽性の場合ウイルス量に応じて、 (1+)、(2+)、(3+)と半定量値で表記されます。 これにより、陰性化までの所要期間の 判断目安がつき易くなります。
検体・採取量 糞便・小指の頭程度分
検体輸送 お問い合わせください
(クール便での検体輸送は、お控えください。)
 ※二枚貝等(牡蠣以外)の食品ノロウイルス検査・ノロウイルス拭取り検査・ノロウイルス遺伝子型検査等の詳細につきましては、お問い合わせください。

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